糖尿病とコロナの関係
糖尿病とコロナの関係 それは決して 甘くない
2019年に同定され、2020年3月11日にWHOよりpandemicが宣言され世界に蔓延した新型コロナウイルス感染症(正式病名 COVID-19)。
コロナに感染した人でも重症化する人、軽症ですむ人など多様な経過がみられ、重症化しやすい人が元々持っていた疾患を「基礎疾患」といい、メディアでもよく報道されていました。
糖尿病患者さんはもともと一般的な感染症でも重症化しやすいが分かっています。
それは感染から体を守る白血球の機能低下・応答低下等が原因と言われています。
そしてそれは血糖コントロール、つまりHbA1cが高い人ほど重症化リスクが高いことが分かっています。
新型コロナウイルス感染症が出てきたときから、基礎疾患に糖尿病をもつ人は重症化しやすいことが予想されていました。
それは2002~2003年に出てきたSARSや2012年のMERSといった他のコロナウイルス感染症においても糖尿病をもつ人は亡くなる危険性が高いことが報告されていたからです。
実際に糖尿病をもっていると新型コロナウイルス感染症に感染した場合に重症化しやすいことが分かっています。
例えば、72314名の新型コロナウイルス感染者において、糖尿病患者さんは3倍の死亡率であった(7.3% vs 2.3%).1590名の新型コロナウイルス感染者において,年齢や喫煙,COPD,高血圧症,悪性疾患等の他の基礎疾患の影響を除外した状態で,糖尿病は重症化や死亡の危険性を高めることなどがわかっています。
また、感染する前の血糖コントロール、つまりHbA1cが高い人ほど重症化しやすいことも報告されています。
例えば、HbA1cが10%を超えると(10%は極端にコントロールが悪い状態ですが)、HbA1c 6.5~7%の人たちと比べて,死亡に至る危険性が1型糖尿病で2.19倍,2型糖尿病で1.62倍と上がることや、HbA1c 6%と比較して8%だと重症化リスクが30%近く上がることなどが報告されています。
また、糖尿病と関係が深い肥満を合併すると重症化しやすいことも分かっています。
では 気を付けるべきことは何でしょうか?
- まずは感染しないように、感染対策を続けましょう。
- 糖尿病の気がある、疑いなどでそのままにしている人は受診して検査を受けましょう。必要があれば治療を開始したほうがよいでしょう。
- 治療されている方は日頃から血糖コントロールを良好に保ちましょう。HbA1cを良好な状態に保って免疫力を下げないようにしましょう。
- 体重管理も重要です。コロナ禍になってから、家での滞在時間が増えています。家の中でできる運動やストレッチ、または人ゴミを避けつつ外で体を動かす習慣をつくりましょう。
引用文献 (一部)
Carey IM et al. Diabetes Care 2018; 41: 513-521
Drosten C et al. N Engl J Med 2003;348: 1967?1976
Zaki AM et al. N Engl J Med 2012;367: 1814?1820
Yang JK et al. Diabet Med 2006; 23:623?628
Garbati MA et al. PLoS One 2016;11:e0165978
Wu Z et al. JAMA 2020;323:1239
Guan WJ et al. Eur Respir J 2020:2000547
NHS England. 20 May 2020
Hayek SS et al. Diabetes Obes Metab 2021;23:1995-2000.
Lim S et al. Nat Rev Endocrinol 2021;17:11-30
大阪、都島・野江内代のサクラ糖尿病・腎臓・内科クリニックでは2人の専門医が内科を幅広く診療しております。困った症状は放置せずに受診をおすすめします。