都島・野江内代の女性内科
女性内科
女性の内科医師も在籍しております。女性患者さんより様々な女性特有の悩みを聞いてまいりました。男性医師には言いづらかったり、女性ならではの妊娠出産を経験しての悩みなど、女性だから分かちあえるような窓口になれたらと思います。
女性には体の構造やホルモンバランスなど、特有のものがあり、その影響が大きく健康にも関わってきます。女性内科では、内科医としての女性特有の病気の治療はもちろん、女性が心身ともに健康的な生活を送っていくサポートができたらと思っております。
※院長も女性にも寄りそった診療をしておりますので、気軽にご相談ください。
✔ 更年期障害の悩み(プラセンタや漢方薬)
✔ 更年期に伴って起きやすい内科疾患(骨粗しょう症、脂質異常症、高血圧症など)
✔ 不眠症、睡眠障害
✔なんとなく元気がでない、不安であるなど気持ちの問題
✔ 排尿の悩み(尿もれや夜間頻尿など)・ぼうこう炎
✔ 低用量ピル、月経調整のご相談 など
気軽にご相談いただければと思います。
更年期障害
女性ホルモンである『エストロゲン(卵胞ホルモン)』の分泌量が急激に減ってきて、生理が停止することを閉経といいます(一般的には1年以上月経がなければ閉経と考えられます。)。体のホルモン環境が激変し、心身ともに体調を崩しやすい時期です。
日本人の女性が閉経を迎える年齢は50~51歳といわれており、「更年期」は一般的には閉経をはさんだ45歳~55歳と言われています。女性の平均寿命は87.57歳(2021年厚生省)と世界第一の長寿国となっており、更年期は人生の折り返し地点。更年期をいかに上手につきあって乗り切り、後半の40年余りの人生の“新たな出発”のお手伝いができたらと思います。
更年期障害の症状
エストロゲンの分泌量が減少すると、今までエストロゲンによって調整されていた体のいろいろな機能がうまく働かなくなります。エストロゲンが低下すると脳は卵巣に対して、もっと女性ホルモンを出すようシグナルを送ります。その影響もあり、自律神経の調整がうまくいかなくなり、心身の不調が起こりやすくなります。また、更年期の年代は対人関係や家族の問題など社会的・環境的要因、心理的要因なども複雑に絡み合う時期でもあり、多彩な症状を呈します。症状には個人差がありますが、日常生活に支障がでるほどの症状があらわれることがあり、この場合は更年期障害とよび治療が必要となります。
主な症状は、自律神経失調症状(のぼせ・ほてり・息切れ・冷汗・動悸・冷え・腹痛・腰痛・不眠・イライラ)や精神神経症状(不安・不眠・うつ・孤独感・頭重感)などがよく言われますが、実は300以上の症状があると言われています。
エストロゲンの働き
女性の身体はエストロゲンが護っていると言われており、生殖能力のみならず、骨やコレステロール、皮膚や粘膜の潤い、認知機能などの精神機能や免疫能まで影響を及ぼしています。内科の面では、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を減らし、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増やしたり、血管の拡張作用もあり動脈硬化を予防する役割があります。エストロゲンが減少する更年期では、脂質異常症や動脈硬化の積極的な対策が必要となります。
日本人女性の平均寿命は延びているのに対し、健康寿命は平均寿命の延びに追い付いていないのが現状です。当クリニックでは内科医として更年期のみではなく、その先もしっかりフォローさせていただきます。
更年期以降に見られやすい内科疾患
更年期の治療
治療方法には漢方薬、プラセンタ療法、対処療法、ホルモン補充療法、サプリメント療法などがあります。対処療法ではイライラや不眠、抑うつ気分などに対する薬を処方します。
- 漢方薬
漢方薬はさまざまな生薬の組み合わせで作られており、全体的な心と体のバランスを回復させる働きがあります。またうつや不安、不眠などに対しては、ホルモン補充療法と効果は同等であるとの報告もあります。
- プラセンタ療法
更年期障害に有効なプラセンタ療法をご存知ですか? プラセンタ療法は更年期障害・乳汁分泌不全に保険適用されています。色々な種類のアミノ酸を補うことで更年期症状を改善する治療法です。様々な症状が緩和されます。
★プラセンタとは?
プラセンタ注射とは、感染のない健康なヒト胎盤を原料とした製剤で、アミノ酸に加えタンパク質、脂質、糖質などの三大栄養素のみならず、身体の働きを整えるビタミン・ミネラル・核酸・酵素といった生理活性成分、細胞の新陳代謝を促す成長因子などの栄養素を豊富に含んでいます。更年期障害に関連する様々な効能が期待されております。
※プラセンタ療法の注意点 皮下注射により投与しますので、注射部位の痛み、過敏症(発疹・発熱・かゆみなど)、注射部位の皮下出血・硬結などが起こるあります。また、投与前に同意書にご署名頂く必要があります。
- 対処療法
気分の落ち込み・意欲の低下・イライラ・情緒不安・不眠などの精神症状でお困りの場合には、抗うつ薬・抗不安薬・睡眠薬なども用いられます。選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)などの新規抗うつ薬は比較的副作用が少なく、ほてり・発汗などの血管の拡張と放熱に関する症状にも有効であることが知られています。
- ホルモン補充療法
ホルモン補充療法は、更年期で減少した女性ホルモンを補充する根本的な治療です。
特に、のぼせ、ほてりなどの身体の症状には効果が期待できます。また抑うつや、不安、夜間覚醒などにも効果が高いとは言われています。
ホルモン補充療法は、乳がんや血栓症の副作用が報告されており、定期的な乳がん検診や血液検査が必要です。当院ではホルモン療法は行っておりませんので、必要時は近隣の医療機関をご紹介いたします。
- サプリメント療法
大豆イソフラボンの代謝物である「エクオール含有サプリメント」はホットフラッシュや肩こりに有効と報告されております。また骨粗しょう症や、メタボリック症候群、皮膚のしわへの効果も示されています。
排尿のなやみ
1.尿もれ
40歳以降の女性の40%以上が経験するともいわれている尿もれ。実際に悩んでいらっしゃる方は非常に多くいるはずなのですが、年のせいとあきらめてしまっていたり、恥ずかしいので他人に相談しづらく、誰にもいえずに我慢してしまっていませんか? 尿失禁には有効な治療方法があります!尿もれとの別れは「一歩踏み出す勇気」です。
尿もれの原因
- 腹圧性尿失禁
咳やクシャミをしたとき、重い荷物を持ち上げたときなど、お腹に力が加わった際に尿がもれてしまうのが「腹圧性尿失禁」です。尿が溜まっているときにチョロッと尿がもれるのが特徴です。これは「骨盤底筋」という尿道を支えている筋肉が傷み、緩んでくるために起こります。加齢や出産を契機に生じることが多く、重い物を持つような仕事や便秘による排便時のいきみ、咳込みやクシャミなども骨盤底筋を傷める原因になるといわれています。
- 切迫性尿失禁
膀胱が広がることで尿を溜めて、膀胱が縮むことで尿を排出します。これらの絶妙なバランスが、何らかの原因によって崩れてしまうと、自分の意思にかかわらず膀胱が勝手に縮んでしまうような状態となります。そのため、急に尿がしたくなったり(尿意切迫感)、我慢できずに尿がもれてしまいます。このように急に尿がしたくなって、我慢できずにもれてしまうことを「切迫性尿失禁」といいます。トイレに何度も行ったり、急な尿意を感じてトイレにかけ込むような状況になるので、日常生活で不便を感じます。原因のひとつに、過活動膀胱があり、国内の調査では、40歳以上の日本人の12.4%が過活動膀胱を認めたという報告もあり、国内の患者数は1,000万人を超えると推定されています。
- 溢流性(いつりゅうせい)尿失禁
文字通り、膀胱が尿で満杯になってしまって、尿がダラダラとあふれて漏れてくる尿失禁のことをいいます。尿が出にくいため、残尿が増えてしまうことが原因となります。尿が出にくくなる代表的な原因疾患に前立腺肥大症があり、男性に多くみられますが、女性でも見られることはあります。
- 機能性尿失禁
排尿機能は正常にもかかわらず、運動機能の低下や認知症が原因で生じる尿失禁です。たとえば、歩くことが困難なためトイレに行くまでに間に合わずにもれてしまう、認知症のためにトイレで排尿するということ自体が理解できずにもらしてしまうといった場合です。このような場合はリハビリや介護、生活環境の見直しなどが必要となります。
尿もれの治療方法
原因によって治療方法や薬物療法は異なってきます。
腹圧性尿失禁の場合、軽症の場合は「骨盤底筋訓練」という体操で改善が期待できます。骨盤底筋訓練は腹筋に力が入らないようにしながら膣や肛門を締める体操で、骨盤底筋の筋線維が太くなるだけでなく尿道括約筋の強化と膀胱過可動の改善も得られます。また、生活習慣の改善も有効です。便秘や肥満は尿漏れのリスクとなります。過剰なカロリー摂取は控え、適度な運動をおすすめします。
切迫性尿失禁の場合、「薬物治療」と「行動療法」を組み合わせて治療を行っていきます。「薬物療法」では、膀胱の筋肉を緩めたり、膀胱の筋肉が勝手に収縮してしまうのを抑えることで、尿意切迫感が軽減して膀胱に尿をしっかり溜められるようになります。「行動療法」として、生活指導であったり膀胱訓練、骨盤底筋体操などをご説明いたします。まずはしっかりお話を伺い、できることから一つずつおこなっていきましょう。
2.ぼうこう炎、じんうじん炎
女性は体の構造上、尿路感染が起きやすく、仕事や家庭の事情でトイレを我慢したり、水分も控えてしまう方も多くいます。また、エストロゲンの低下により、膣粘膜が萎縮して常在菌が減り、そのためデリケートゾーンに菌が繁殖しやすくなると言われています。
また、誰でも疲れているときは膀胱炎を悪化させやすいもので、久しぶりに膀胱炎になったとき、特別な原因がなければ、肉体的・精神的ストレスがかかっていた可能性があります。思い当たるストレスをできるだけ除去して、ゆったりご自身の体をいたわってください。無理は禁物です。
「ぼうこう炎」の症状としては、排尿した時の痛み、残尿感や頻尿、下腹部の違和感などがありあます。そのまま経過をみていると、腰痛や発熱することがあります。そのような場合は菌が膀胱だけではなく、腎臓まで侵入する「じんうじん炎」に進展している可能性があります。じんうじん炎は全身症状も強く、急激に全身状態が悪化することもあります。
繰り返す場合は、生活面で改善できることがないか、一緒に見つめ直していきましょう。
女性の体調不良の原因は、内分泌や自律神経、生活リズム、食行動の乱れなど非常に複合的で、精神状態も大きく関わって、全体的な失調を起こしやすくなっています。「この症状は何科にかかったらよいだろう」と迷われた場合、御相談いただければと思います。